臨床の葛藤を越えて。新たな一歩を踏み出したことで見つけた「助産師の新しいキャリア」とこれからの働き方

こんにちは。ArchNurseのけんいちです。今回は助産師から民間企業への転職。そして助産師のキャリア支援を現在歩んでいる宗内優美香さんのキャリアに関する記事をまとめています。リアルな転職活動の様子も書かれているので是非、参考にしてもらえると嬉しいです。

この記事を書いてくれた人

宗内優美香さん
助産師10年目|新卒で入職した地域周産期医療センターで5年臨床経験後、民間企業へ転職。不妊、婦人科疾患も経験し、治療や子育てと仕事の両立を試行錯誤しながら実践中。
助産師・看護師・保健師・キャリアコンサルタント・防災士

目次

なぜ助産師を目指したのですか?

実は「助産師」という職業をきちんと知ったのは、大学生になってからでした。
高校生のとき、東日本大震災で被災し、そのときに保健師さんから受けたケアが忘れられず、災害看護の道に進みたいと思って進学しました。
保健師を目指していたのですが、あるとき母性看護の先生と話す機会がありました。その中で聞いた「女性の一生を専門的に支えられる仕事」という言葉がとても心に残ったんです。避難所で見た女性の大変さを思い出し、もっと専門的にケアを学びたいと思い、助産学専攻に進みました。

助産師としての業務は何をしていましたか?

臨床経験は5年間。
年間2,000件のお産がある病院で、産科と、NICU/GCUを持つ地域周産期医療センターで働いていました。
産科では外来、妊産褥ケア、分娩室、手術室(器械出し・新生児係など)まで、幅広く経験させていただき、3年目の終わりにNICU/GCUへ異動し、新生児集中治療ケアも深めていきました。

きつかったこと

産科は「おめでとう」が言える現場である一方、常にリスクと隣り合わせ。
新人の頃は要領もいい方ではなく、毎日必死で、振り返りと勉強の繰り返しでした。
また、3年でローテーションする病院だったので、やっと慣れてきたところでまた学び直し…。そのサイクルは正直しんどかったです。

たのしかったこと

助産師が多い病院だったので、分娩室では基本的に1対1のケアが出来た為、第1期のケアをしっかり寄り添いながらできたこと、そこで関係性を築きご出産をサポートできたことはとても嬉しかったです。また入院中のママとゆっくりお話を聞きながら、退院後はどのように過ごしたいかを考えたり、限られた入院生活の中でママと赤ちゃんに合わせた授乳方法を一緒に模索していくのは楽しかったです。コロナ禍というのもあり、パパを含めたケアが出来なかったのは悔やまれました。

企業転職を考えたきっかけは?

転職の決め手になったのは?

病棟で働く中で、妊娠・出産にまつわるさまざまな現実を見てきました。
中絶、死産、産後うつ、社会的ハイリスク…。
「もっと早く助産師につながってくれていたら…」
「日常の中でケアを届けられる仕組みはないのかな?」
そんな思いが大きくなっていった頃、SNSで「顧問助産師(現:企業内助産師 THE CARE)」という言葉を見つけました。

調べると助産師が立ち上げた会社だと知り、理念にも共感して“ここで働きたい”と直感しました。

転職活動はどのようにしましたか?

苦労したことは?

実は「転職活動」というのはしておらず、本当にご縁とタイミングでした。

まだ当時は立ち上がったばかりの会社だったので、社員募集はしておらず、でも気になってDMをお送りした所、代表取締役の岸畑さんからオンラインで話す機会をいただき、ある事業の手伝いをしてくれないかとお誘いを受けました。当時は病院勤務で副業NGでしたので、ボランティアでお手伝いをしました。
1年くらいたった頃、実は私自身が体調を崩し、夜勤が出来なくなってしまって、このままでは続けられないと思い、結婚を機に一度退職したのです。
そのタイミングで、社員を探していたようで、これまでのボランティアでの取り組みも評価してくださって、入社しました。
完全にご縁だったと思います。

なぜその業界(企業)を選びましたか?

助産師が立ち上げた会社はこれまでなく、新しいことへの挑戦はもともと好きで、わくわくした気持ちで入社しましたが、ベンチャー企業に入ることに不安もありました。

でも潜在助産師となり、助産師としての価値を見失っていた私に対して「あなたの知識や経験がだれかの役に立つ」という代表の岸畑さんの言葉に背中を押してもらいました。

入社してから知りましたが、現在、女性の健康課題に対してのアプローチに注目が集まっていて、フェムテック業界はどんどん拡大していっています。急激な拡大のため、よりしっかりした専門的知識が求められており、助産師の出番だとも感じています。

転職をしてみてどうですか?

良いこと、苦労したこと

弊社は企業内助産師として、産業保健に近い形で、企業にお勤めの従業員様とそのご家族様からご相談をいただきます。もともと地域で活動したいと思っていた中で、より生活の場でいただく相談は、病院勤務時代とはまた視点が違い、病院勤務とは全く違う視点で「女性の健康」に向き合えている感覚があります。

また、病院での決まった業務を行うのではなく、日々新しいことに挑戦し、企画や実行という新しいことを生み出す楽しさを実感しました。

その中でも助産師としての知識経験を活かして仕事が出来ているというのは大きな喜びでした。

苦労したこととしては、病院勤務時代の出勤したら仕事が割り振られてその日の仕事はその日で完結するのではなく、自分で仕事を考え計画的に仕事を進めていくという思考の切り替えが難しかったです。仕事の区切りは自分でつけないといつまでも残業してしまったり、いろんなプロジェクトを掛け持ちしたりするので、同時並行にタスクをこなし長期的な計画で管理していくのは最初は不慣れで大変でした。

ベンチャーらしい大変さはありますが、成長を強く感じる日々です。

企業転職をしてみて気づいたことはありますか?

まず最初に気づいたのは、一般社会人としてのお作法がわからないという事です(笑
名刺の交換の仕方、メールの送り方、ビジネス用語など一から勉強していきました。
そして
助産師 × ○○ の掛け合わせが強みになる
ということにも気づきました。

私は学生時代から簡単な動画編集をしていた経験もあり、PCに慣れていたことでボランティアから入りやすかったのもそのおかげかもしれません。

また、“私がこれを担う意味は?”と悩んだ時期もあります。

私は現在、企業内助産師としての仕事ではなく、企業内助産師を志したい方のサポートや、働き方を模索している助産師さんの学びのサポートをさせていただいております。
ふと、この仕事って私でなくてもできるのではないかと思った時に、ちょっと怖いなという感情が芽生えたのも転職してみての気づきでした。

でもじっくり自分と向き合った時に、助産師を辞めかけた過去や、働き方に悩む人を支えてきた経験は、私にしかない強みであり、価値だと気づきました。この経験を活かした恩返しがしたい、キャリアに悩む助産師さんをより専門的にサポートしたいと思い、今年の夏、国家資格キャリアコンサルタントを取得しました。

自分の強みって何だろう、興味って何だろう、何をしたいんだろう、何が今の自分に足りないんだろう、私がこの組織にいる意味って何だろう、そんなことを日々考え、ひとりの人としてウェルネスな状態で仕事をすることへの意識の大事さを考えるようになったのも、転職しての気づきだと思います。

これからやりたいことを教えてください

現在は、主に助産師さんに向けたキャリア支援やリスキリングの提供、そして企業内助産師さんのサポートをさせていただいております。
転職して5年目になり、これまで病院勤務だけではきっと出会わなかったであろう助産師さんと500名以上お会いしてきました。
日本で約7万人がいると言われている助産師ですが、実際に働いているのは約3.5万人。
過去のわたしのように悩み、助産師として働けていない人が助産師の半分もおり、少子化の影響で産科の閉鎖により助産師としての職を失っている方も多く伺っています。
私は民間企業に勤めたことで、病院勤務だけでなく、もっと広くフェムテック業界をはじめ多くの現場で助産師が必要とされていることに気づきました。
悩む助産師さんが、自分がいきいきと働ける現場を見つけるサポートをしていきたいと思います。
そして間接的ではありますが、助産師さんが生き生きとケアを届けていただけることで社会がもっと明るくなってほしいなと思います。

お知らせ

助産師向けキャリアデザインプログラムLOOKで、助産師さん専用の自己分析ツールのご提供や、個人キャリア相談・グループカウンセリングを実施しております。

また、最新の知識を学びながら新しい助産師の活躍の場を模索していきたいという方向けに、助産師向けリスキリングプログラムLicense says第7期生を募集中です。(締め切り2025年12月26日)

これから助産師として一歩踏み出して挑戦していきたいという方、お待ちしています。
今、助産師が求められている領域について一緒に学びを深めていきましょう。

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