看護師から企業へ|目の前の患者さんだけじゃなかった、やりがいの重心が移動した話

大学病院5年を経験して看護師から企業の営業職への転職

「もっと患者さんに寄り添いたいのに、忙しすぎてできない」
そんな現場での葛藤を原点に、大学病院からIT企業へと転身したゆかさん。看護師を辞めるのではなく、その経験を武器に「誰もが自分らしく働ける仕組み」を作りたい。キャリアの正解に迷い、一歩踏み出そうとしているすべての看護師さんに届いてほしい、等身大のインタビューです。

この記事を書いてくれた人

ゆか
看護師として5年間働いた後、IT企業へ転職。営業職として新しい世界に戸惑いながらも一歩ずつ前進中。医療現場で感じた課題や葛藤を原点に、自身のキャリアを前向きに見つめ直すきっかけになればと思い、SNS発信やコミュニティ活動にも取り組んでいます。

目次

看護師を目指したきっかけ:身近な存在から「支えたい」という強い意志へ

なぜ看護師になになりましたか?

将来の選択の幅が広がるかな?と思い、高校で理系を選択しました。周りに看護師になるという人が多かったこともあり、わたしもなれるかもと当時は流れに任せて看護師の道へ。(田舎あるあるですね…笑)

高校3年生の頃、母が病気を患い、闘病生活を見守る中で、”病気で苦しむ人の支えになりたい”と思い、看護師を目指うようになりました。

大学病院でのキャリア:コロナ禍のスタートと多様な外科看護の経験

看護師としての業務は何をしていた?

コロナ年入職したため、最初の1ヶ月間はまともに現場に立つことができず、寮の中でひっそりと過ごす日々から社会人生活が始まりました。「看護師として働く」という実感を得る前に、時間だけが静かに過ぎていったのを覚えています。

そんなスタートを切った私の看護師人生は、1年目から世にも珍しい、”外来始まり”でした。笑

配属されたのは入退院支援室で、主に入院前の患者さんやご家族を対象に、術前アセスメントや検査前の説明などを担当していました。

2年目から約4年、混合外科病棟で病棟看護師として勤務しました。

主に消化器外科、呼吸器外科、乳腺・甲状腺外科の患者さんを中心に、内科の患者さんも含め、急性期から終末期まで幅広いフェーズの看護を経験させていただきました。

なかでも、移植を経験された患者さんと関わる機会を得られたことは大学病院ならではの非常に貴重な経験だったと感じています。

看護師時代の苦労と喜び:夜勤の過酷さと退院支援のやりがい

きつかったことやたのしかったことを教えてください。

夜勤がきつかったです。夜勤中の仮眠休憩を1-2時間とって、そこから起きて勤務に戻るのが1番つらかったです。あの身体の気だるさといい、眠たさに拍車がかかる感じ…経験された方には、きっと共感してもらえるはず!笑

患者さんの退院支援がうまくいった時は、純粋に楽しかったです。

退院後も外来の際に病棟へ顔を出してくださり、元気そうな様子を見せていただいたときには、「関われてよかったな」と心から思いました。

また、入院中の患者さんの嬉しそうな笑顔を見られたり、感謝の言葉をいただけたりした瞬間も、ありきたりかもしれませんが、やはり大きなやりがいでした。

「現場の限界」を超えて仕組みから変えたいという想い

企業への転職を考えたきっかけを教えてください。

看護師として働いている中で、「もっと良い看護がしたい」という思いはずっとありました。

でも、業務の忙しさや時間の制限、人的リソース不足など、どれだけ頑張っても、現場の中だけじゃ限界があるな…と感じることが増えてきたんです。特にコロナ禍では「寄り添いたいのに寄り添えない」状況に直面して、そのたびに、「もっと根本から仕組みを変えていけたら」と考えるようになりました。

そんな時、自分の気持ちにじっくり向き合ってみて気づいたのは、看護師として目の前の人のケアに携わるそのものだけではなく、働く人やその周りの人がもっと自分らしくいられる仕組みを作りたいという思いも、ずっと持っていたんだなということでした。「人にしかできないことに集中できるように、人がやらなくてもいいことは仕組みで解決していく」という現職の考え方に出会ったときに、「あ、私がやりたいことはこれだ!」とすごく腑に落ちました。

個人の努力ではなく「ケアが届く構造」にワクワクした

転職の決め手になったのは?

転職の決め手はひとつの出来事というより、「やりがいの重心がはっきり移動したこと」だと考えています。

①患者さんそのものより、「環境・仕組み」に目が向き始めたこと

看護師としてのやりがいは確かに感じていましたが、人員が足りないことでケアが滞ること、頑張っている人ほど疲弊していくこと、個人の努力で何とか回している状態が続いていることなど、現場の構造に、違和感を持つようになっていました。「目の前の患者さんを支えるだけでは限界がある」と実感したことが転職のきっかけになりました。

②やらされ仕事ではなく、「自分で考えて変えること」に手ごたえを感じたこと

病棟看護師として勤務していた頃、コロナ禍での人員不足が原因で、通常の業務が回らなくなってしまった時期がありました。その時、業務改善の一環として、前残業の削減や業務配置の見直しなどに取り組んだ経験があります。自分で課題に気づいて、周囲の声を拾いながら、試して、直して、形にしていく。それが、「現場が回る→働く人が少し楽になる→患者さんが笑顔になる」という結果につながったとき、私はケアを”提供する側”より”ケアがちゃんと届く仕組みをつくる側”にワクワクするのかもなと気づきました。

③「続けられない」ではなく「もっと広くやりたい」に変わったこと

看護師が嫌になった、人間関係が合わなかったということは、ありがたいことにまったくなかったです。ただ、この改善をもっと早く出来たらよかったなとか、もっと仕組み側から関われたらなという思いが強くなり、スケールの違う場所で挑戦してみたいと考えるようになりました。

看護師として患者さんに向き合う中で、個人の頑張りではどうにもならない構造に違和感を持ち、現場の声をもとに「仕組みを変えること」にやりがいを見出したことが結果的に、転職の決め手になったかなと思います。
夜勤がつらいな~とか、そろそろ寮を出ないといけないな(寮に5年間しかいられなかった…)という現実的な決め手なんかも、もちろんあります笑

転職活動の壁:現職との両立と「自分自身の言語化」への挑戦

転職活動はどのようにした?苦労したことはありましたか?

一番苦労したことは、現職と転職活動の両立です。

夜勤やシフト勤務もありながら、限られた時間の中で履歴書を書いたり、面接の日程を調整したりするのは、しんどかったです。

あと意外と大変だったのが、「自分は何をしたいのか」を言語化するプロセスでした。ここをきちんと言語化して「自分軸」みたいなものが見えてきた時に、やっと納得感をもって転職活動ができるようになった気がします。

業界選びの軸:医療現場の「働きやすさ」を支えるSaaS・HRテックへの関心

なぜその業界(企業)を選びましたか?

看護師や医療職の人たちが、もっと働きやすくなる仕組みを作っている会社で働きたい、という軸がありました。

そのため医療や介護分野に関わる企業や、働き方そのものを変えることをテーマにしているHRテック系(働く人が、もっと自分らしく働けるように、仕組みや制度を支える技術やサービス)の企業に興味を持って、実際にいくつか応募していました。

特に、SaaSなどの仕組みで業界課題にアプローチをしている企業に惹かれていたのは、”仕組みから変えていくことで、現場を支えたい”という思いがあったからだと思います。

転職後のリアル:成果の可視化と「評価の明確さ」への戸惑いと喜び

転職をしてみてどうですか? 良かったことや苦労したことは?

良かったことは、「頑張りや成果がちゃんと見える」ことでした。看護師の時は、患者さんへのかかわりにどれだけ工夫を凝らしても、それが見えるかたちで評価されたり、共有される機会は少なかったので、良かったことがちゃんと言語化されて、チームに還元される文化があるのがすごく良いなと思いました。

一方で、何を頑張ったかが数字で示される分、日々の働き・動きがとてもはっきり見える環境でもあります。現在の営業では架電件数や通話時間などの成果につながるアクションが、KPI(Key Performance Indicator)として数字に示されているので、看護師の時とは違う「評価される軸の明確さ」があるなと感じました。結果が出ない日はやはり落ち込むときもありますが、”だからこそ何が足りなかったのか?”を自身で振り返ったり、チームメンバーからフィードバックがもらえる機会が多いのはありがたいなと感じています。

企業で得た気づき:心理的安全性が生む「失敗を共有し、チームで高める文化」

企業転職をしてみて気づいたことはありますか?

企業転職をしてみて、働き方や考え方の前提が大きく違うと感じる場面がいくつかありました。

その中でも特に印象的だったのが、「わからない」と言っていい空気が最初からあることでした。

まずはやってみてわからなければその場で共有することで、認識のズレが早い段階で修正され、次に同じつまずきをする人が減っていく。このサイクルが、個人の過ちではなくチーム全体の質を高めていくための行動として受け取られている点が、とてもいいなと感じました。これが実際に企業で働いてみて、私が心地よく働けていると感じている理由の一つにもなっているなと気づきました。

今後の展望:「看護師×ビジネス」の可能性を広げ、キャリアの場づくりに貢献したい

これからやりたいことを教えてください。

今は営業職として働いていますが、今後はチームや組織をより良くするための活動や、仕組みづくりに関わるイネーブルメント、マーケティング職に挑戦してみたいと考えています。少しずつ経験を積んで、自分の強みや関心を深めながら、「看護師×○○」のキャリアの可能性を広げていきたいと思っています。

また、私自身がキャリアに迷ったとき、職場の中に同じような思いを共有できる人が少なかった経験があります。その中で、看護師として働く人が「続ける・辞める」に関係なく、気軽に悩みを話したり、自己開示ができるような場所をつくっていけたらいいなと感じるようになりました。今後は、ArchNurseの運営にも引き続き関わりながら、一人で抱え込まずにキャリアを考えられる場づくりにも力を入れていきたいです。

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