「産業保健師になるためにはどうしたらいいですか?」
私が看護師のキャリアアドバイザーをしていた頃からこういった相談は多く、ここ2,3年でさらに増えていると感じています。産業保健師として働いている方と話をしているとその方達に共通点を感じることがあったので、ここでは産業保健師になるために必要なポイントまとめてみました。
ポイント
✔︎データから見る産業保健師の転職市場
1. 情報収集
2. 自己分析
3. 志望動機
データから見る転職市場
有効求人倍率
2019年の看護師の有効求人倍率は2.46倍です。これは1人の求職者に対して2.46の求人募集があるという状態です。これが産業保健師になると1名の募集に対して40名が応募すると言われています。同じ有効求人倍率で考えてみる0.025倍です。
つまり、人数だけで採用の難易度を比較すると、産業保健師として面接に合格することは看護師としての一般的な医療機関への転職の約100倍ハードルが高いと考えることもできます。
求められる役割
病院という組織の中では看護職員の比率は50%を超えます。その組織の中でもっとも多い職種であるということです。これが、企業保健師の場合はどうでしょうか?基準がないので企業によってまちまちではありますが、ざっくり500-1,000名の社員に対して産業保健師が1人というような企業が多いようです。こうなると病院での看護師とは求められる役割が変わっていくのは当然です。自分だけの力でできることは限られるので、周りを巻き込む力だったり、産業保健の分野は発展途上でもあるので自ら仕事を創りだし、企画や運用をしていくことも求められるんだと感じました。
※データ参照元

3つのポイント
情報収集
産業保健師の求人は、数が少なすぎるのであまり表には出てこないです。紹介会社に登録してもほとんど出てこないというのが現実です。だからこそ自ら動いて情報を取りに行く必要があります。そもそもこれができない方は産業保健師には向いていないのかもしれません。
まずは、実際に今、産業保健師として働いている方の話を聞くのが1番だと思います。そういった情報が入るコミュニティも多くあります。そういったところで質の高い一次情報を得ることが大切だと思います。
自己分析
産業保健師として働く上での自身の強みは何か?
看護師としての職歴、またそれ以外の活動から得られた経験を産業保健師としてどのように活かすことができるのか?
看護師は、就職活動時に時間をかけて「自己分析」をするという方は少ないと思っています。これはそういう機会がないだけであって、いろいろやり方はあるのと本も出ていますので時間をみつけて是非やってみましょう。個人的にお勧めは「ストレングスファインダー」という自身の強みを知ることができる本です。
志望動機
志望動機でのポイントは、産業保健師になりたい理由だけでは足りないということです。
ポイント
・なぜ行政保健師ではなく企業なのか?
・なぜ他の会社ではなくその会社の産業保健師なのか?
この質問に対して、過去、現在、未来と一貫性を持たせて回答ができるまで落とし込んでいかないと面接では落とされてしまいます。面接官の立場で考えてみましょう。40人の方から1名を採用すると考えたときに産業保健師になりたい理由が明確にあるのは当たり前です。そのためにこれまで何をしてきたのか、なぜうちの会社に入りたいのかがないと記憶にすら残らないという可能性もあると思っています。
そのときに大切になるのが”自己分析”と”ありたい姿”です!
一貫性
- 過去:経験、実績 できること
- 現在:自己分析 現在地確認
- 未来:ありたい姿 理想
ここに注意
自分ができること。やりたいこと。
そのキャリアのベクトル上に志望している企業があるという一貫性
ここまでできれば、自分のキャリアにも向き合うことになり、自然と面接官の方にも響くような面接ができるようになると思います。
まとめ
今後は産業保健師以外にもヘルスケアの領域で働く医療従事者の方が増えてくると思っています。また、そういったキャリアを思考する方も増えてきているように感じます。この記事から、その第一歩を踏み出すための何か気づきを得てもらえたら嬉しいです。
ArchNurseというコミュニティには、看護師さんを中心としていろいろなキャリアの方がいます。もし興味があればそちらも覗いてみてください。