看護師として病院で働くこと以外に「企業で働くこともチャレンジしてみたい」と考えている方は増えています。とはいえ、企業での働き方は病院勤務とは大きく異なり、転職活動も医療業界とは大きく異なります。
そこで、この記事では、看護師・保健師が企業への転職を目指す際に必要なステップを5つに分けて、順を追って解説します。各ステップでは、詳しく解説した関連記事にもリンクしているので、自分の状況に合わせて読み進めてください。
STEP1|自分を知る:企業が求める看護師像を理解しよう
転職成功の第一歩は自己理解
転職活動を始めるにあたり、まず大切なのはご自身の立ち位置を客観的に見つめ直すことです。看護師としてこれまで培ってきたスキルや強みを丁寧に棚卸し、どのような環境や価値観の中でなら自身の力を最大限に発揮できるのか、じっくりと考察することで、入職後のミスマッチを減らすことができます。
新卒で病院に就職された看護師の方の中には、転職活動というものを初めて経験される方も少なくありません。そのため、自己分析が十分にできていないケースも見受けられます。今一度、ご自身のキャリアを振り返り、深く掘り下げて考えることが、後悔のない転職への第一歩となります。看護師という資格に囚われず、自分と向き合うことで、思いもよらないキャリアの選択肢が見えてくるはずです。


転職市場における自身を俯瞰してみてみよう。
企業の人事担当者からすると「なぜ看護師から転職するのだろう?」「なぜ病院ではなく企業で働きたいのだろう?」と疑問に思うのは自然なことです。このような質問に明確に回答できるよう準備するためにも、転職市場においてご自身がどのように見られているのかを客観的に把握することが重要になります。
企業への転職を考える際には、主体的に業務に取り組む姿勢や、円滑なコミュニケーション能力、関係各所との調整力といった、医療現場とは異なるスキルが重視されることがあります。これまでのご自身の経験の中から、これらの能力が活かされた具体的な場面を掘り起こし、整理してみましょう。転職市場におけるご自身の強みや特性を客観的に把握することが、企業選びの重要な指針となり、面接での説得力のある回答にも繋がります。

▶ 詳しくはこちら:企業が求める看護師とは?転職成功の鍵となる徹底自己分析ガイド【準備中】
STEP2|周りを知る:病院以外の働き方を知ろう
「看護師」の資格を活かす視点
看護師資格を活かせる企業や業種は多岐にわたります。例えば、従業員の健康管理を担う産業保健師、医療機器の専門知識を活かす医療機器メーカー、革新的な医療サービスを提供するヘルスケアベンチャーなどが挙げられます。また、新しい薬や治療法の開発をサポートする治験関連の企業や医療機関も、看護師の専門知識や患者さんと接する経験が活かせる重要な場ですこれらの分野では、看護師としての専門知識や現場での経験が活かせるため、これまでのキャリアを土台に新たなフィールドで活躍したいと考える方にとって魅力的な選択肢となるでしょう。
「看護師」の資格にこだわらず探す
一方で、看護師資格に限定せず、全く異なる分野でご自身の可能性を探ることも大切です。これまでの看護経験で培われたコミュニケーション能力、問題解決能力、共感力などは、様々な業界で求められる普遍的なスキルです。資格という枠にとらわれずに視野を広げることで、意外な適職や新たなキャリアパスが見つかるかもしれません。
看護師の多くは、病院以外の仕事内容やキャリアパスに触れる機会が限られがちです。そのため、選択肢が狭まっていると感じてしまうこともあるでしょう。しかし、積極的に情報を収集することで、ご自身のキャリアの幅は大きく広がります。
▶ 詳しくはこちら:病院以外にも活躍の場が!他業界や業種の仕事内容やキャリアパスを知る【準備中】
STEP3|求人サイト、エージェント、スカウトサービスを賢く活用しよう
転職活動を始めるにあたり、効果的な情報収集と適切な転職支援サービスの活用は非常に重要です。企業看護師の求人の一部は非公開であることも多いため、信頼できる転職エージェントを活用することで、より多くの選択肢にアクセスできる可能性が高まります。
看護師の転職も一般職向けサービスを視野に
病院勤務から企業への転職を考える看護師は、求人の探し方やエージェントとの付き合い方に慣れていない方も多いです。だからと言って、看護師向けのサービスに限定する必要はありません。寧ろ一般職向けの求人サイトや転職エージェント、さらにはスカウトサービスも積極的に活用してみましょう。 看護師としての経験やスキルは、一般企業の様々な職種においても高く評価されることがあります。幅広い選択肢の中から、ご自身の可能性を最大限に活かせる企業や職種を見つけることが大切です。
複数のサービスに登録し、相性の良い担当者を見つける
また、転職サイトにも企業系の求人が掲載されていることがあります。複数の求人サイトや転職エージェントに登録し、情報を比較検討することをおすすめします。 特に転職エージェントの場合は、担当者との相性が転職活動の成否を左右することもあります。複数の担当者と面談し、親身になって相談に乗ってくれる、信頼できる担当者を選ぶことが、スムーズな転職への近道となります。 口コミやサポート体制も参考にしながら、ご自身に合ったサービスを見極めましょう。
▶ 詳しくはこちら:企業看護師の求人を見つける!失敗しないサイト・エージェントの選び方【準備中】
STEP4|書類選考は落ちて当たり前、看護師の経験は伝わる言葉へ変換しよう
書類選考は「通過できたらラッキー」程度に心構えよう
看護師の転職活動においては、病院やクリニックなど医療機関の求人では、書類選考の通過率が比較的高い傾向があります。しかし、一般企業の企画、営業といった職種に応募する場合、応募者数は医療機関と比較して大幅に増加し、企業は書類選考の段階で多くの候補者を絞り込みます。例えば、人気のある企業や職種では、数百件の応募に対して書類選考を通過できるのは数名ということも珍しくありません。「10社応募して1、2社から面接の連絡があれば良い」というくらいの心構えでいる方が、不採用が続いても精神的な負担を軽減でき、積極的に次の行動に移りやすくなります。書類選考で落ちることは決して珍しいことではない、と認識しておくことが大切です。
職務経歴書は「翻訳」するように、企業の求める人物像に合わせて具体的に記述する
看護師としての経験を、一般企業の人事担当者に効果的に伝えるためには、病院での経験を「翻訳」する意識を持つことが重要です。例えば、病院内での「患者ケア」という経験は、企業においては「顧客対応力」や「傾聴力」と捉えることができます。「チーム医療での連携」は「協調性」や「コミュニケーション能力」、「緊急時の迅速な判断」は「問題解決能力」や「臨機応変な対応力」としてアピールできます。
▶ 詳しくはこちら:企業転職の書類・面接対策!看護師経験を活かすアピール術【準備中】
STEP5|面接のスケジュール調整と内定承諾前の条件確認は慎重にしよう
内定のタイミングを合わせるというスケジュール調整
内定承諾には企業から納期が設定されることが一般的です。もし複数企業で選考が進んでおり、志望度の高い企業がある場合は、内定が出るタイミングをできるだけ合わせられるよう、最終面接の日程調整を打診してみることも有効な戦略です。
条件確認と交渉は内定承諾の前にする
無事に内定を得た後も、油断は禁物です。内定通知書に記載された条件面(給与、勤務地、職種、待遇など)は細部までしっかりと確認しましょう。疑問点があれば、遠慮せずに企業に問い合わせることが大切です。
また、給与や入社時期など、条件面で希望がある場合は、内定を承諾する前に必ず交渉を行いましょう。 入社後のミスマッチを防ぎ、納得のいく条件で新たなスタートを切るために、この段階での確認と交渉は非常に重要です。
スムーズな退職と引き継ぎ
並行して、現在の職場への退職連絡と、同僚や後任への丁寧な引き継ぎを進めることも大切です。円満な退職は、プロフェッショナルとしての責任を果たす上で重要なだけでなく、今後のキャリアにおいても良い影響を与える可能性があります。
▶ 詳しくはこちら:企業への転職、最終準備!応募から入社までのスムーズな手続きガイド【準備中】
さいごに|未来のキャリアと仲間づくりの一歩を踏み出そう
企業での看護師キャリアの広がり
これから医療業界の枠を超えて活躍する看護師は、医療介護とビジネスの橋渡し役として新たな価値を生み出す存在だと思っています。専門性を活かしながら、営業や企画、プロジェクトマネジメントなど多様な道に進むことも可能です。
仲間とのつながりがキャリアを支える
また、同じようにキャリアの可能性を広げたいと考える看護職が集まる「ArchNurse」コミュニティでは、実体験の共有や転職ノウハウを得ることができます。迷った時には、ぜひ仲間と情報交換してみてください。
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