こちらは施設形態別の看護師就業者数のグラフです。
厚生労働省が平成26年に出しているもので数字は少し古いのですが、現在でも大きくは変わりないと思います。
このグラフから就業している看護職員(看護師、准看護師、保健師、助産師)の61%が病院で働いているということになります。今後、このグラフはどうなるでしょうか?
看護師の就業場所のメインは病院であることは変わりないと思うので、比率に大きな変化はないかもしれませんが、国は病床を削減して、在宅へと移行をしていきたいと考えています。さらに健康経営が注目をされヘルスケアの市場も今後は伸びてきます。そうなると必然的に病院以外で働く看護師の絶対数は増えると思っています。まだあまり実感はないかもしれないですが、少しずつその傾向は出始めています。
こういった背景で看護師はどのようにキャリアを考えていけばよいのかキャリアコンサルタントとしての考えををまとめてみました。
病院での看護師のリストラ?
総合病院や大学病院では実際にリストラに近いようなことが起きています。
具体的には、育休明けで復帰をされる方の受け入れや中途採用の受け入れ幅について変化が起きています。
これまでは、病院の外来で日勤のパート勤務での受け入れもしてきたのですが、看護師の人員が余剰であり、夜勤ができる常勤でないと復帰を認めないとか、半年後には夜勤をやってもらうとか、かなり厳しい状況になっているようです。
そういった看護師さんからのキャリアのご相談はここ数年で非常に増えています。
今後は、病院から在宅へと向かうので介護施設や訪問看護での就業人員が増えていきます。
少なくともこのデータは少し前なのですが、この数年で訪問看護事業所での求人数は拡大しています。
看護師としてどういうキャリアを築くのか?
看護師不足はまだまだ続くのですが、働く場所や働き方は変わっていくと思っています。
病院の求人は減り、介護施設、訪問看護の就業人員が増えてきます。
新卒はみんな総合病院や大学病院という時代も既に変わってきています。
新卒の方でも総合病院で採用がされず、転職サイトに登録をする方も増えてきました。
5年程前では考えられなかったことなのですが、それだけ変化が早いということだと思います。
看護師という資格はこれからの時代に必要とされるとても価値ある資格だと思います。
医療現場で看護をすることはもちろんのこと、例えば営業職に近いような治験の仕事だったり、保険適用外の美容クリニックもあれば教員のような仕事もあります。
また、産業保健師といったように企業で社員の健康を支えるといったヘルスケア領域での仕事もあります。
つまり
看護師≒病院という時代は終わり
看護師という資格を生かしならが、自分のライフスタイルに合わせて仕事をすることができるようにキャリアを選択していくことが大切になります。
ただし、逆の視点から考えると
看護師という資格があればどこにでも就職できるという時代も終わるのかなと思っています。
そこで考えていかなければいけないのが次の「α」です
看護師 × 「α」とは
看護学校も増え、看護学科も増えているのですが、人口動態を考えると看護師さんが部分的には余剰になる時代も遠くはありません。
既に総合病院や特定の地域(福岡県等)ではその傾向が出ており、量から質への転換が始まっています。
具体的には、新卒採用の基準が厳しくなったり、中途採用であれば看護師の中でもスペシャリストの募集で「○○の認定看護師やオペ室の経験者しか採用をしない」といった状況です。
福岡県は、一般業界でも九州の各地から女性が福岡で就職をするという傾向があります。これは看護業界でも同じです。そのため福岡中心地での看護師さんの需要と供給のバランスは日本の全体と逆転しているようなことが起きています。
だからこそ今後は
看護師という資格をベースに何を掛け合わせていくかがとても大切になってくると思っています。
もちろん、認定看護師や専門看護師として看護師としてその専門性を極めていくということも「α」の1つで素晴らしいキャリアの選択肢だと思っています。
これは看護業界だけではなく他業界のほうが必要不可欠となる考え方です。看護師という資格はこれからの時代には最強だと思っていますのでそのアドバンテージを是非、活かしてもらえたらと思っています。
専門職だからこそ自分のキャリアをどう歩んでいくかは、自分自身が決めていくことが大切!