現代は、人生100年時代と呼ばれる時代に突入しています。これに伴い、働く期間も長くなり、キャリアに対する考え方も変化してきました。看護師・保健師という職業も例外ではなく、医療現場だけでなく、多岐にわたる分野での活躍が期待されています。そのため、看護師・保健師が転職を考える際には、自己分析が非常に重要なプロセスとなります。本記事では、自己分析の重要性やその具体的な進め方、そして人生100年時代におけるキャリアの見直しについて詳しく解説します。
キャリアコンサルタントの視点から見る自己分析の重要性
キャリアコンサルタントとして、自己分析がキャリア形成においていかに重要であるかをお伝えしたいと思います。自己分析とは、自分自身の強みや弱み、価値観、スキル、興味などを客観的に見つめ直すプロセスです。このプロセスを通じて、自分が本当にやりたいことや向いていることを明確にし、転職活動の方向性を定めることができます。
人生100年時代において、キャリアは一度きりではなく、何度も見直され、再構築されるものとなります。看護師・保健師としてのキャリアも、長い人生の中で複数回の転職やキャリアチェンジが考えられるでしょう。自己分析を行うことで、キャリアの節目ごとに自分が本当に望む働き方や生活スタイルを明確にし、それに基づいた意思決定を行うことができます。
看護師・保健師や保健師の転職においては、医療現場に限らず、さまざまな分野に活躍の場が広がっていきます。しかし、専門職のみなさんは学生時代に自己分析や他の業界研究の機会がないことが多いです。よって、自己分析を行うことで、医療現場での経験を他の分野にどう活かせるかを見極め転職先の選択肢が広げることはとても大切です。たとえば、企業内の健康管理室や医療機器メーカーでの仕事、さらにはカスタマーサクセスやヘルスケア領域でのコンサルティング業務など、看護師や保健師が活躍できる場はどんどんに広がっています。自己分析が不足していると、自分の能力や適性に気づかず、限られた選択肢に固執してしまう可能性があります。
看護師・保健師の特性と広がるキャリアの選択肢
看護師・保健師は、医学的知識と高いコミュニケーション能力を持ち、他者をサポートする職業倫理に根ざした特性を備えています。これらのスキルは、医療現場にとどまらず、多様な分野で求められています。例えば、企業では産業保健師として従業員の健康管理やメンタルヘルスケアの専門家としての需要が高まっています。また、医療機器メーカーでは、製品の使用方法を現場の看護師・保健師や医師に教育するトレーナーとしての役割が重要です。さらに、サブスクリプション型のサービスを展開する企業においても、顧客に寄り添い自社サービスをより活用してもらうためのカスタマーサクセスという役割は重要でここにも看護師や保健師のスキルは活きてきます。
このような広がるキャリアの選択肢を前にして、どの方向に進むべきかを見極めるためには、自己分析が不可欠です。自分の特性やスキルを再確認し、それらがどの分野で最も活かせるかを考えることで、転職活動がより効果的になります。
また、人生100年時代においては、キャリアの持続可能性や長期的な展望を持つことが求められます。医療現場での看護師・保健師の仕事は身体的にも精神的にも負担が大きく、長期間続けることが難しい場合があります。そのため、キャリアの後半に向けて新たな分野に挑戦し、ライフステージに応じた働き方を模索することが必要です。自己分析を通じて、自分がどのような働き方を望み、どのような環境で最もパフォーマンスを発揮できるかを理解することは、キャリアの長期的な成功に直結します。
自己分析を始めるための第一歩、多様なキャリアの可能性を探る
自己分析を始めるにあたり、まずは自分の現在のスキルや価値観を棚卸しすることが大切です。具体的には、自分のこれまでの経験や成果を振り返り、どのような場面で力を発揮できたか、またどのような業務が苦手だったかを明確にすることから始めましょう。これにより、自分の強みや改善すべき点が見えてきます。
例えば、看護師・保健師として患者とのコミュニケーションやチーム医療の調整が得意であれば、そのスキルは企業内の健康管理やカスタマーサクセスでの仕事にも応用できるかもしれません。逆に、技術的な手技が苦手である場合、その部分を補うためのスキルアップを検討するか、それを避けたキャリア選択を考えることも一つの方法です。
次に、自分の価値観や仕事に対するモチベーションについて考えてみましょう。例えば、仕事において何を最も大切にしているのか、どのような環境で働きたいのかを明確にすることは、転職先を選ぶ際の重要な基準となります。キャリアコンサルタントとしての経験から、3CやSWOT分析といったマーケティングの要素を用いることで、自己分析をより効果的に進めることができると考えています。
また、人生100年時代を見据えたキャリアプランを立てるためには、自分がどのようなライフステージでどのような働き方をしたいのかを明確にすることが重要です。例えば、若いうちは現場での経験を積み、後半には教育やコンサルティングなど、体力的な負担が少ない仕事にシフトすることも考えられます。このように、長期的な視点でキャリアを考えることが、自己分析の重要なポイントとなります。
さらに、医療現場以外での活躍を考える場合は、関連する業界や職種についての情報収集も欠かせません。自分が興味を持てる分野や、自分のスキルが活かせる分野を見つけるためには、業界研究や人脈づくりが有効です。例えば、企業での健康管理業務に興味がある場合、その分野で働いている看護師・保健師や専門家に話を聞くことで、具体的なキャリアビジョンを描くことができます。
このように、自己分析を通じて得られる洞察は、転職活動だけでなく、キャリア全体の見直しにも役立ちます。人生100年時代においては、キャリアの転機は何度も訪れます。常に自分自身を見直し、新たな方向に舵を切る準備をしておくことが大切です。
自己分析は何度も繰り返し行うキャリアの健康診断のようなもの
自己分析は、看護師・保健師としてのキャリアを再定義し、新たな可能性を見出すための重要なプロセスです。医療現場に限らず、さまざまな分野での活躍を目指す看護師・保健師にとって、自己分析を通じて自分の強みや価値観を理解し、それを転職活動にどう活かすかを考えることが成功への第一歩となります。
人生100年時代においては、キャリアを長期的に考え、ライフステージに応じた働き方を模索することが求められます。自己分析は、そのための土台となり、自分が本当に望むキャリアを実現するための道標となります。1度きりではなく健康診断のように定期的に行うことが大切です。
転職を考えている看護師・保健師の方々が、このプロセスを踏まえて、自分に最も適したキャリアパスを見つけられることを願っています。また、キャリアコンサルティングを利用することで、自己分析の質をさらに深めることができます。厚生労働省のページから無料でキャリアカウンセリングを申し込みができますので是非、活用してみてください。
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