人生100年時代、看護師も自律的なキャリアが求められる
現代は、人生100年時代と呼ばれ、キャリアの在り方も大きく変化しています。「看護師=病院勤務」という考え方は、もはや時代遅れかもしれません。特に、看護師の中でも病院や医療業界以外で活躍したいと考える人が増えており、その選択肢はますます多様化しています。ヘルステックや製薬会社、産業保健など、新たなフィールドで看護師としてのスキルを活かす場が広がっているのです。
しかし、この転職活動は決して簡単ではありません。医療業界での経験をそのまま活かせる職場は限られており、企業転職に向けてしっかりとした準備が必要です。今回は、企業転職を成功に導くために、転職に失敗する人がやりがちなことと、成功するためにやるべきことを明確にし、具体的なアクションプランを示していきます。
転職に失敗する人がやりがちなこと
転職活動を進めるにあたり、いくつかの「失敗しやすいこと」があります。これを避けることで、無駄な時間やエネルギーを使わず、確実に目的に近づくことができます。
マイナスな気持ちのまま転職活動を始める
転職活動を始める際、最も重要なのは、自身の心身が良い状態であることです。現在の職場に対して不満があるのは当然かもしれませんが、マイナスな気持ちのまま転職活動を始めるのは避けましょう。転職の理由が「今の職場が嫌だから」という消極的なものだと、面接でもネガティブな印象を与えてしまいます。例えば、「キャリアアップの機会がない」「職場の人間関係が悪い」など、具体的な不満を整理し、それを乗り越えたいという前向きな姿勢で転職活動に臨みましょう。
「新しい職場で何を達成したいか?」「どのようなスキルを活かしたいか?」など、自分自身に問いかけ、ポジティブな転職理由を見つけましょう。
すぐに転職エージェントに登録する
転職エージェントは非常に便利なサービスですが、目的地が決まっていない状態で登録しても効果的ではありません。転職エージェントに登録すると、自分の希望を伝えることになりますが、その時点で自分が本当に何を求めているのかを明確にしていなければ、エージェントの提案に流されてしまいます。すぐに転職エージェントに登録するのは、目的地が分からない飛行機に飛び乗ってしまうようなものです。エージェントのサポートを最大限に活用するためには、まず自分が「何を求めているのか」を明確にし、次に進むべき方向性をしっかりと決めてから登録することが大切です。エージェントに依存せず、自分の目的を持った転職活動を心がけましょう。
転職エージェントは、非公開求人の紹介や面接対策など、転職活動を効率的に進めるための強力なパートナーとなります。しかし、利用する前に、自分のキャリアプランを明確にしておくことが重要です。
「〇〇に行く!」と最初から決めつける
企業転職を決める際、最初から「美容業界」「産業保健」「治験業界」などに決めつけてしまうのは避けましょう。確かに、ある分野に強い関心を持っていることは重要ですが、最初から一つに決めつけることで視野が狭まり、選択肢が限定されてしまいます。
企業転職は広い視野で行動し、さまざまな可能性を見つけることが重要です。例えば、転職先を選ぶ際には、「看護師としてのスキルを活かせる場所」として、治験業界だけでなく、製薬業界やヘルステック、さらには医療機器メーカーなどを選択肢に入れ、自分に合った環境を見つけることが求められます。
看護師の資格を前提とするのではなく、世の中にどのような仕事があるのかという広い視野を持ち、様々な可能性を探りましょう。
企業転職を成功させるためにやるべきこと
自分の現在地を知る(自己分析を徹底的に行う)
転職活動は、次の目的地へ向かうための移動のようなものです。自分が今どこにいるのかを把握せずに、次に進む道を決めることはできません。したがって、まず行うべきは徹底的な自己分析です。自分の強みやスキル、これまでの経験を振り返り、現職での課題や不満点を明確にすることが最初のステップです。
自己分析が不足したまま転職活動を進めると、職務経歴書が薄っぺらくなったり、面接でうまく自己PRできなかったりするリスクがあります。自分の強みや価値を理解し、それを次のキャリアにどう活かしていくかを考えることが重要です。
また、自己分析を進める中で「やりたくないこと」や「避けたい職場環境」についても考えることが大切です。自分がどのような仕事をしたいのかだけでなく、どのような仕事を避けたいのかを知ることで、選択肢を絞り込みやすくなります。
SWOT分析やキャリアアンカー分析などのフレームワークを活用し、客観的に自己分析を行いましょう。

業界・業種についてしっかり調べる(業界全体を把握する)
転職活動では、業界や業種の理解を深めることが欠かせません。特に、看護師から企業への転職の場合、従来の医療業界に閉じた視野ではなく、幅広い業界や業種を見据える必要があります。
「どの業界が転職しやすいか?」だけでなく、その業界の全体像や将来性についてもリサーチすることが求められます。業界地図や企業レポートを活用し、各業界の動向や将来のニーズについて調査しましょう。
たとえば、ヘルステック業界や製薬業界では、今後さらに看護師としての知識や経験が求められる場面が増えていくと予測されています。そのため、自分のスキルを活かせる業界を見つけ、そこにどうアプローチするかを考えることが大切です。
業界専門誌、企業のIR情報、業界団体のウェブサイトなどに加え、「業界地図」といった書籍も活用し、信頼性の高い情報源から業界の全体像を把握しましょう。
ロールモデルとなる人と話す
企業転職を目指す際、最低でも3人以上の転職経験者と話し、自分のキャリアパスを形成することが非常に重要です。1人のロールモデルに依存すると、その人のキャリアパスや考え方に偏りがちになりますが、複数のロールモデルと話すことで、多様な視点を得ることができます。
具体的には、3人以上の転職経験者から、それぞれのキャリアの選び方、成功した点や失敗した点を学び、その良い部分を組み合わせて、自分だけの「架空のロールモデル」を作り上げていきましょう。自分にとって理想的なキャリアパスを描くためには、他の人の経験から学ぶことが欠かせません。
SNSや勉強会、キャリア相談サービスを活用して、積極的に情報収集を行い、実際の転職経験者の話を聞くことが成功への近道です。
SNSやオンラインコミュニティなどを活用し、積極的にロールモデルを探しましょう。ArchNurseのコミュニティやふらっとなかめ(リアル交流会)も有効活用してください。
まとめ:戦略的に準備して転職を成功させよう!
企業転職は決して簡単ではありませんが、事前にしっかりとした準備を行うことで成功に繋がります。以下のポイントを踏まえて、転職活動を進めていきましょう。
- マイナスな感情のまま転職活動をしない(ポジティブな理由で転職を進める)
- すぐに転職エージェントに頼らない(目的地を決めてからエージェントを活用)
- 「〇〇に行く!」と決めつけず、広い視野で選択肢を広げる
- 自己分析を徹底し、自分の強みと弱みを言語化する
- 業界や職種のリサーチをしっかり行い、適切な分野を見つける
- 複数の転職経験者と話し、架空のロールモデルを作り上げる
企業転職を成功させるためには、冷静に準備を進めることが必要です。自分の現在地をしっかり把握し、業界全体を調べ、複数のロールモデルと話しながら、最適な転職先を見つけ出しましょう。新たなキャリアを歩む第一歩を踏み出し、未来を切り拓く準備を整えましょう!