どこを向いて仕事してるのか問題— 三方よしから四方よしのキャリア形成—

2025年4月4日

「この仕事、一体誰のためにやっているんだろう？」――日々の業務に追われる中で、ふとそんな疑問を感じたことはありませんか？

ビジネスの世界では「三方よし」（売り手・買い手・社会）の精神が大切にされてきましたが、それだけでは自分の心が満たされないと感じる人もいるのではないでしょうか。この記事では、そこに「自分」を加えた「四方よし」という新しい働き方の視点を提案します。仕事の意味を見つめ直し、やりがいを持って長く活躍するためのヒントを探ってみましょう。

「どこ向いて仕事してるのか問題」とは？

仕事をするうえで、売り手・買い手・社会のどれかに偏ると、長期的な成功が難しくなります。

例：一方に偏った仕事の問題点

企業が利益ばかりを追求すると、過剰な広告を使ったり、サービスの質を下げたりすることにつながります。一方で、顧客の要望ばかりを気にしすぎると、企業の持続可能性が損なわれてしまいます。さらに、社会のためだけに仕事をする場合、企業としての経済的な継続性に問題が出ることもあります。

身近な具体例

たとえば、流行に乗じてディスカウント商品を大量販売する企業は、一時的に売り上げを伸ばすことができます。しかし、長期的な価値を提供する仕組みがないため、顧客が継続して支持することは難しくなります。また、社会的に意義のある仕事に熱心に取り組む人が、無理をしすぎて健康を損ねてしまうケースも少なくありません。看護師をはじめとした医療従事者にはこのようが方が多くいるのではないでしょうか。

では、どのようにバランスを取るべきか？

「三方よし」の考え方とは？

「三方よし」は、近江商人の経営哲学として知られ、売り手、買い手、社会の三者が満足するビジネスモデルを指します。

売り手よし（企業や働く人が利益を得る）
買い手よし（顧客に価値を提供する）
世間よし（社会全体に良い影響を与える）

この考え方は、日本の企業経営にも広く取り入れられており、短期的な利益だけでなく、持続可能なビジネスの実現に役立ちます。

しかし、現代においては、これだけでは不十分になりつつあります。

「四方よし」— そこに“自分”を加えるキャリア形成の発想

「三方よし」に“自分自身”を加えた「四方よし」の視点が、これからの時代には重要です。

四方よしの構成要素

売り手よし → 企業や個人が利益を得る
買い手よし → 顧客に価値を提供する
世間よし → 社会全体に良い影響を与える
自分よし → 働く本人がやりがいを持ち、健康的に働ける

「自分よし」を加えることで、持続可能な働き方が可能になり、燃え尽き症候群を防ぐことができます。さらに、ただ義務感で働くのではなく、内発的動機を大切にすることでやりがいを感じながら働けるでしょう。また、人生100年時代に対応したキャリア設計がしやすくなります。

「四方よし」を実践するための具体的な方法

1. 仕事選びの基準を見直す

「給料がいい」「社会貢献になる」だけでなく、自分にとっての「働く意味」を考えることが重要です。

たとえば、「この仕事は自分にとって長期的に続けられるか？」と自問してみるとよいでしょう。また、「やらされている」ではなく「やりたい」と思える要素があるかを確認することも大切です。

2. ワークライフバランスを意識する

四方よしの実践には、健康的な働き方が不可欠です。仕事ばかりに集中しすぎると、精神的にも肉体的にも疲弊してしまいます。そのため、オーバーワークを避け、しっかりと休息を取ることが大切です。また、家族や趣味の時間を確保し、プライベートの充実を図ることも必要です。

3. キャリアの多様性を確保する

一つの会社に依存せず、複数の収入源を持つことを意識することで、より柔軟なキャリア形成が可能になります。たとえば、パラレルキャリア（副業や兼業）を持つことで、安定した収入を確保しながら新しい挑戦をすることができます。また、自分のスキルを広げる学習を継続することで、変化の激しい社会にも適応しやすくなります。