こんにちは。ArchNurseメディアチームです。今回の記事は、行政保健師から行政保健師への転職をした保健師のキャリアに関する記事です。行政保健師を目指している人や異なる自治体への転職を考えている人の参考にしてもらえると嬉しいです。
保健師を目指したきっかけは?
地域・生活の場で身近で気軽に相談してもらえる医療職になりたい!
保健師になる選択肢は看護学校2年生の後半まで自分の中にはありませんでした。高校生の時に参加したオープンキャンパスでは家庭訪問のロールプレイを見て、「私は、知らない人の家に一人で訪問できない。保健師にはなれない。」と思ったのを鮮明に覚えています。
そう思った私が保健師を目指したのは、看護学校の保健センター実習で妊婦さんの集まりに参加したことがきっかけでした。
「こんな症状があるけれど病院に相談していいのか悩む。」「病院受診のタイミングでしか相談ができない。」「病院の教室で育児手技を練習したけど家でできるか不安。」「育児グッズの準備ちゃんとできたかな。」など不安が次から次へと出てくる。
「地域には、不安を感じながら過ごしている妊婦さんがいる。」
地域に身近な場所に相談できる医療職がいれば、妊娠中も安心して過ごせる?ご自宅にあるものを使用して育児手技の練習ができればより産後のイメージをその人の生活にあわせて考えられる?
それができるのは行政保健師だ!
行政保健師でも自治体の規模によってもできることが変わるのではないかと考えた私は、一人ひとり丁寧に関わりたい気持ちがあったため、まずは小さいまちでの保健師経験を積むことが自分にあっていると思い、住民規模が小さい自治体の行政保健師となりました。
小さいまちでの保健師は何をしていましたか?
新卒から母子保健の担当となり、妊活相談、母子手帳交付、妊婦訪問、新生児訪問等ほとんどの妊産婦さんと関わることができました。生まれた後も乳幼児健診の従事や子どもの遊び場に顔を出したり、保育所訪問や小中高校の健康教育などの業務を行っていました。
小さいまちなので母子保健だけでなく、成人の特定健診や若年健診、がん検診、特定保健指導、後期高齢者健診、老人クラブでの健康講話などゆりかごから墓場まで幅広い業務を経験しました。
きつかったことについて教えてください
小さい自治体だったので住民との距離が近いこと。住んでいた地域と働く地域が同じだったため、住民であり、保健師であり、公務員であるなど様々な立場であることで人との距離感に戸惑いました。
楽しかったことについて教えてください
住民との距離が近いことで顔の見える関係性になれたこと。住民との距離感は、近いことできつかったこともありましたが第三世代以上のつながりがわかり、家族全体に関わることができることで家族の成長を感じることができ、とても楽しかったです。
幅広い保健師の業務や公務員としての働き方を知ることができ、予算の仕組みや地域課題を事業に反映でき、数値等で成果が見えることもとても嬉しかったです。
行政から行政への転職を考えたきっかけは?
小さい自治体でゆりかごから墓場までの幅広い世代を対象に保健師活動を展開でき、個別の支援から集団への支援を考えることができる素敵な環境ではありましたが関われるケース数は、人口規模もあるので限られてしまいます。このまま、ほかの地域を知らないまま過ごしてもよいのだろうか。もっといろんな地域を見てみたい。そんな気持ちが湧いてきました。
転職の決め手になったのは?
他を見てみたいと思いつつも中々勇気が出ない、行動に移せない。どのように情報を収集したらよいのかわからない。そう思っていた時にSNSで保健師や産業看護職と検索をかけて「Arch Nurse」の活動や「ONE DOOR」を知り、全国に保健師の仲間がいることを知って、実際にいろんな地域で働く自治体の保健師や産業保健師として働く人の話を聞き、まずは上京しようと背中を押してもらいました。
転職活動はどのようにしましたか?
自分の中で転職する先の候補として、「①産業保健師 ②行政保健師」と考えていたのでセミナーを受けたり、エージェントに自分のことを話すことで今後どのようなキャリアを歩んでいきたいか整理をしていきました。
エージェントだけでなく、SNSで出会った方々(産業、開業、行政保健師等)とお話をして、自分のキャリアを考えていくことと様々な働き方を教えてもらいました。
苦労したことはありますか?
地方からの上京のため、転職活動の日程を調整するのが大変でした。
「早く転職先を決めて職場に辞めることを伝えたい。」「産業保健師は未経験で不安。そもそも未経験求人がない。」などもあり、まずは行政保健師を受験。
(今考えるとまだ産業保健師になることへの覚悟が決まっていなかったから、何かと理由をつけて行動をしなかったのだと思います。新しいことを始めるのは不安で一歩を踏み出すことにとても勇気がいりました。)
自分が働きたい地域をピックアップし、その中での1次試験に確実に行ける日の自治体を選択しました。
2次試験の日程が提示されてからの準備期間が短く、公共交通機関の予約や業務の調整も大変でした。
なぜその地域(行政)を選んだ?
母子保健を極めていきたい気持ちがあったので、子育て世代の流入が多い地域を選択しました。
自分自身がその地域を好きになれるかも大切にしていました。
転職をしてみてどうでしたか?
良いこと、苦労してること
多くの方との出会いがあり、様々な経験ができるので日々の地域活動は楽しいです。ケース数が多いため、小さいまちとは違い、じっくり関わるケースは優先順位を考える必要があるので日々葛藤です。
事務作業もしっかり保健師がやる自治体だったので業務の幅は少なくなりましたが、事務の量は増えました。予算規模も関わる数字もどれも大きいなぁと感じます。
行政保健師に転職してみて気が付いたことは?
いろんな地域を見ることでそこに住む人の違いや健康課題の違いが見えるのは面白いと感じました。自分の経験値もパワーアップした気がします!
これからやりたいことはありますか?
自治体での行政保健活動をやってきたので上京するときに考えていた産業保健分野への転向です。自分のキャリアの幅を広げていくとともに、その人がその人らしく生活できる人を増やしていきたいです。
保健師が好きと自分が思い続けられること。保健師が好きな人が増えていく世の中を目指したいです。